MLM(マルチ商法)やってみることにした
その話はある日突然やってきた
3年前のこと。
夫が共通の友人に誘われて
ビジネスセミナーへ
出かけていった。
何やら
新しいスタイルのビジネス
とかなんとかで
いわゆる
ネットワークビジネスだった。
友人の彼は
イケメンでノリも良く
夫とは妙にウマが合う
とても「いいやつ」って感じ。
その彼が
「一緒に夢を掴みましょ!」
とノリノリで誘ってきた。
まずは聞いてみよう
夫がセミナーに
参加していた時
私は末娘に授乳中だった。
いってらっしゃい
と見送った時にも
特に「イヤだなぁ」とか
「えーやめてよー」とか
思っていなかった。
私たち夫婦は
元々会社員ではないし、
いろんなビジネスに
手を出しては
うまくいったりいかなかったり
紆余曲折しつつも
楽しく仲良く生きてきた。
新しい情報は
聞いてから考える
それが私たちのスタイルだったし
イヤなことはイヤ
と言えばいいと
理解しているくらいの
いい大人だから
話を聞く前から
ダメ!絶対!!
みないなことにはならない。
帰宅した夫からの説明
帰って来た夫の顔を見て
「あ、これはやらないんだな」
とわかった。
私たちは
一緒に仕事をしていて
一緒に暮らしていて
相手に隠し事がない。
感情が顔面にダダ漏れ。
良くも悪くも
遠慮なく思っていることが
相手に伝わってしまう。
まぁ、つまり
帰宅した夫の顔は
ワクワクしていなかった
というわけ。
新しいことに挑戦すると
これから起きることに
ワクワクしてしまうタイプ。
誰だってそうですよね?
で、そのセミナーには
ワクワクしなかった
それが答え。
「どうだった?」と話を促すと
「うーん、まぁね」と
見聞きしてきたことを
大まかに話してくれた。
これから伸びていくビジネス
そこにチャンスがある
きっと楽しくなってくる
というイケメン友人の言葉も
夫の胸にクリティカルヒットしなかった様子。
やりたければやってもいいんだよ
なんでも二人でやってきた。
仕事も
新生児の深夜のミルクも
協力して助け合ってきた。
ただ、そのビジネスに関しては
私は別に興味を持たなかったし
乳飲み子を抱えてまで
取り組みたいとは
思わなかった。
「どう思う?」と聞かれて
「やりたければ
やってもいいんだよ」
と答えた。
それは、
私は協力しないけど
夫がやりたなら止めないよ
という意味で
夫はもちろん
そのまま理解した。
「おと(私)がやらないなら
俺も別にいいかなー」
そう言って
この話は終了した。
で?その後どんな感じ?
イケメン友人とは
他の2人の友達と
私たち夫婦と娘も入れて
グループで遊ぶことが多かった。
と言っても
年に1回か2回
バーベキューしたり
カフェ行ったり
カラオケ行ったり。
グループの他のメンバーは
夫の一つ年下の好青年
そしてもうひとりは
私と同じ年くらいの
バリバリキャリアウーマンママ。
イケメンを誘ったのは
好青年で
キャリアウーマンは、
夫と一緒に話を聞いて
断ったものの
その後参加したと聞いていた。
この好青年のビジュアルを
夫はとても気に入っていて
「すっごくかっこいい人がいる」
と聞かされて紹介された。
実際に会った感想は
一般的にモテそうなタイプだけど
夫とは真逆のタイプ。
夫がめちゃめちゃ濃いのに対して
好青年は坂口健太郎くんのような
色白でシュッとした塩顔。
つまり、夫が好きで
結婚した私としては
タイプではないわけで
夫が飛ばすハートを
冷静に傍観していた。
ただ、ビジュアルではなく
好青年の考え方や受け答えが
すごく私にはしっくりきていて
好青年と話すのは
いつも有意義で
面白いと思っていた。
好青年が好きな
私たち夫婦は
3人でランチ会を
年に何度かしていた。
好青年が選ぶ
カフェはいつもおしゃれで
新しい世界に触れるのも
楽しみのひとつだった。
そこで必ず一回は聞いてしまう
「あのビジネス
その後どんな感じ?」
やらなかったとはいえ
友達みんながやっていて
どうなったのか
気になるに決まっている。
そうすると
「イケメンは頑張ってるみたいですよ。
僕は、自分の会費くらいは返ってきてます。」
という前向きな回答を
イヤな感じもなく
話してくれた。
その質問も
何度目かの時には
「ちょっとプラスにはなってます。」
に変わってきていた。
私抜きで好青年が話したかったこと
ある日のランチ会のお誘いで
好青年は
「夫と二人でランチしたい」
と言い出した。
き、嫌われたのだろうか。
とかは思わなかったけれど
いつも私が喋りすぎなのかも
と反省しつつ
その希望を素直に受け入れた。
ランチから帰宅した夫によると
好青年は
「どうして(夫)さんはビジネスをやらないんですか?」
とストレートに聞いてきた。
「特に魅力を感じないし
そもそもMLM(ネットワーク)が苦手なんだよ」
と夫も正直に話した。
「おと(私)さんはこの話聞いたことあるんですか?」
「いや、説明会に行ったのは俺だけだよ」
「一度説明させてもらって、
断る理由をおと(私)さんにも聞かせてもらいたいです」
「いいけどー、やらないよ?(笑)」
といったやり取りをしたんだ
と聞かされて、
「え?聞くの?」となった私。
でも、好青年に対する
信頼度もあるし
多少の時間くらい
まぁ、いいかと思うことにした。
なんか知らない人来るってよ
夫が好青年に
私を連れていくことを伝えると
さっそく好青年からLINEがきた。
「お時間いただきありがとうございます!
全然正直に言ってくださっていいんで
よろしくお願いします!」
「いえいえ。
お役に立てるかわかりませんけど
よろしくお願いします。」
「どうせやらないって(夫)さんに言われてるので
大丈夫です!!(笑)
当日は、すでにビジネスで生活してる人に
説明してもらうんで、よろしくお願いします!」
え?
知らない人来るん?
えー。
人見知りの私は
すごくイヤそうに
夫に「知らない人来るん?」と
言うと「そだよー」と
しれっと言われてしまった。
好青年には
「知らない人は苦手です」と言うような
内容のことをやんわり伝えつつも
決まったことは仕方なく
当日が来てしまった。
スーツとか聞いてないんですけど?
到着したのは
渋谷ヒカリエの上階にある
おっしゃーれなカフェレストラン。
入り口で待っていたのは
バリッとスーツ着た好青年。
はぁ?
スーツとか。。。
と脳みそフリーズしつつ
席へ向かうと
そこには初対面の
苦手めなスーツの男性が
鎮座されていた。
挨拶もそこそこに
顔色を悪くしていると、
愛煙者の夫が
「ちょっとその前にタバコだけいい?」
と一旦私を席から遠ざけてくれた。
トイレに向かう途中
言葉にならない
妙な緊張感を夫に訴えつつ
露骨にテンションが下がっていった。
好青年は
普段とは違う私の様子を心配し
喫煙所まで追いかけてきて
「びっくりさせてすみません」
と何も悪くないのに
謝ってくれた。(こちらこそすみません)
いよいよ説明が始まった
席に着くと
スーツ男さんは
少しヨレた名刺を差し出し
挨拶してくれた。
現在このビジネスで
サラリーマンの平均月収くらいは
毎月もらっていると言うスーツ男さんの
薄い黄色のシワの入ったネクタイを
ぼんやりと眺めていた。
夫は使い物にならない私の代わりに
スーツ男さんの語る
ビジネスに至ったエピソードに
感じよく相槌を打ってくれていた。
私はどっちとも取れるような
フゥンみたいな
変な呼吸のような返事のようなものを
吐き出しながら
耳だけはしっかりと傾けていた。
ひとしきり
会社のことやビジネスプランを話し終え
スーツ男さんは次があるからと
帰って行った。
ランチでもしながら話しましょう
そのカフェレストランは
ランチが安くても2500円というお店だった。
私たちは家を出るちょっと前に
朝ごはんと称して
しっかり食事をしていたので
お腹いっぱいだったのだけど
席を使うために
ランチは絶対!
というルールだったらしく
仕方なく注文した
高級ランチを口に押し込んだ。
正直
おいしくはなかった。
まずくもなかったけど。
空腹は最高の調味料
とはよく言ったもんだ。
食事をしながら
好青年は「どうでしたか?」と言い
夫は「どうだった?」と私に振った。
スーツ男さんは
良い人かもしれないけど
魅力的ではなかった。
ただ、ビジネスの話は
なかなか面白いと感じた。
いまいちピンとこない部分もあったけど
3年前に聞いた時より
大きく成長しているのは明らかだと思った。
そんな風に
感じたままを私は伝えた。
好青年は
「3年間やってみて
正しいやり方がやっと分かったんで、
もう一度ちゃんと取り組んでみようと思ったんです」
といつも通り穏やかな口調で
話してくれた。
もう少し詳しい内容の
WEBセミナーが今夜あるので
聞いてみないかと言われ
他のことをしながら
参加しても良いと言われたので
参加してみることにした。
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