おとなりクラブ ぼっちの私の40年ちょっと

アトピーは悪いものが出ていると言う常套句 宗教は治療ではない 毒家族

毒家族へ


赤ちゃんの頃からアトピー

私は生後2ヶ月から
皮膚に湿疹が出ていたそうだ。

その頃の写真を見ても
顔が赤かったり
することがある。
 
ひどい湿疹で
痒がる私を
母は病院へ連れて行った。

処方された薬
多分ステロイドであろう
それを塗ると
すっかり湿疹は落ち着いたけど
私はぐったりしてしまった。

それを見て
元々病院へは連れていくな
と言っていた父の意見が
正しいのだと信じ
母は私に治療を受けさせなかった。

父は宗教を
信じていたので
病院を悪だと思っている
フシがあった。
宗教2世はめちゃくちゃキツイ 新興宗教で働く父と幸せそうじゃない信者

お世話をしているつもりの父

痒がる私を
父は何度も風呂に入れたらしい。

母はそれを見て
なんて優しい人だろう
と思っていた。

保湿もしてもらえない私は
乾燥が増して
さらに悪化したのは
言うまでもない。

知識もなく
専門家である
医者にも頼らず
両親は私のアトピーを放置した。

父は
自分の出来ることを
してやった
と思っているだろう。

悪いものが出ているという理論

物心がついた頃には
人とは違って
いつもどこか痒いことが辛かった。

どうして私の体はそうなのか
質問すると
両親は口を揃えて
悪いものが出ているのよ
と繰り返した。

悪いものって一体何?

私は悪い人間だから
悪いものが体にあって
それが出終わるまで
この苦しみが続くのかと
先の見えない
暗闇の中を進んでいるようだった。

悪い心が
アトピーを出している
とも言われたことがある。
 

髪型の自由はない

乾燥がひどいので
フケもよく出た。

頭の痒みも酷かった。

四六時中
体や頭を掻き毟る私に
友達ができるわけがなかった。

自分でも
気持ち悪いと思っていた。

母に言われ
洗いやすいようにと
いつも髪を短くされていた。

ものすごく嫌だった。
でも
悪いものがあるのだから
仕方がないと
自分に言い聞かせ
短い髪の毛を
気に入っているフリをした。

背中の痒み

背中もよく痒くなり
背中を掻いて欲しいと
母によく頼んだ。

少しだけ掻くと
「もう掻きすぎ」
と言って
一方的に辞めてしまい
そのあとは
取り合ってもらえなかった。

痒みが治らず
手が届かず
どうしたら良いか
考えた。

自分の部屋の壁紙が
ザラザラの素材だったため
猫のように
背中を壁に押し付けて
どうにか掻いた。

ある日
いきなり部屋のドアを開けた母に
それを見られた。

母は
「背中掻いてるの?」
と聞いてきて
「うん」と答えると
爆笑した。

ひとしきり笑って
ドアを閉めた。

恥ずかしくて
悲しかった。

他に方法がなかったので
そうやって背中を掻くことは
なかなかやめられなかった。

もう見られないように
ドアの鍵をかけてから
背中を掻くようになった。

海に浸かれば良い

 
私のアトピーのために
してくれたことは
海に浸かると良いと聞いて
海に連れて行ってくれた。

潮水は滲みるだけだし
やはり保湿はしない。

続けてくれるわけでもないので
それはすぐに終わり
効果もなかった。

カサカサが辛かったので
ベビーオイルや
低刺激の保湿液を見つけては
頼んで買ってもらっていた。

病院で検査してもらった

小学生の頃
病院に連れて行って欲しいと
頼んで頼んでどうにか
一度だけ検査をしてもらった。

アレルゲンは
ハウスダストイエダニだと
その時の血液検査の結果で分かった。

その時住んでいた家は
家中の床がカーペット敷で
母はほとんどと言って良いほど
掃除機をかけなかった。

シーツも替えてもらえない。
カーテンなんて洗うわけもない。

イエダニにとっては天国で
ハウスダストは
溜まりまくりだったと思う。

私の血液検査の結果を
知ったからといって
母が何かしてくれるはずもなかった。

私はまだ子どもで
何をどうしたら良いのか
いまいち分かっていなかった。

病院へはそれっきり
連れて行ってもらえなかった。

あとは
宗教の手かざしで
悪いものを出してもらいなさい
と言われ続けた。

体質が変わるという迷信

生理が始まれば
体質が大人になって治るとか
子どもを産めば
体質が変わるから治るとか
迷信的なことを言われては
それを信じて切望した。

生理が始まるのを
心待ちにしている私を
母は気持ち悪そうに見ていた。

そして
生理が始まっても
もちろん
アトピーは治らなかった。

思春期のアトピーは地獄

私のアトピーは
どうにもならないのだと
諦めていた。

思春期になって
制服を着る中高生の間は
肌を見せるのが辛かった。

夏服になると
ずっと腕を組んでいた。

掻き壊した
肘の内側や
首の周り
膝の裏は
かさぶただらけだった。

隠そうと
包帯を巻いてみたりしたけど
イタイ人みたいで
さらに周りから浮いた。

その頃には
母に相談することも
すっかり諦めていた。

周りの目線が気になって
いつもおどおどしていた。

私の中の
自分は醜い存在
という思い込みは
この時に出来上がった。

今でも
人は私を見て
気持ち悪いと
思っている
という思い込みが消えない。

子どもへ遺伝しませんように

 
肌の綺麗な人が
羨ましいのは
今も変わらない。

子どもを妊娠した時も
アトピーにだけはなりませんように
と強く願った。

希望通り
娘は肌の強い子でホッとした。

息子は軽度のアトピーに
なってしまったけど
定期的に病院へ通っているので
悪化してどうしようもない
ということはない。

息子が見た目で
アトピーと
気がつかれることもない。

それでも本人は辛そうで
たまに不満をぶつけてくる。

自分は間違っていない

私は大人になってから
皮膚科受診するようになり
アトピーに投薬が有効だと
初めて知ったときは
なんだかショックだった。

それを話すと
母から
子どもの頃に
ステロイドを投与しなかったことが
正解だったのだと
言い聞かされていたけれど
医者と話すと
それも詭弁だと思った。

アトピーにならずに
悪いものが
出なかったら
喘息になっていた
とも言われた。

その主張に
なんの根拠があるのか
私にはわからないけど
アトピーを放置したことを
正当化しているのだと思う。

今でも
私はアトピーと付き合っている。

思い通りにならない病気だけど
悪いものが
私の中にあるわけではないし
私のせいではないので
ぼちぼち向き合おう
と思っている。

宗教2世はめちゃくちゃキツイ 新興宗教で働く父と幸せそうじゃない信者